大腸菌ディスプレイ法

大腸菌ディスプレイ法とは?

・ディスプレイ法は、巨大なライブラリーのスクリーニングにとって必須の技術です。

・ファージ、リボソーム、酵母、大腸菌等のディスプレイ系が知られています。

・大腸菌ディスプレイは、シンプルかつスピーディな点が優れているおり、表面提示量が多いという特徴があります。

・MACS, FACSを用いて、効率的な陽性クローン選抜が可能です。

・大腸菌への抗体ディスプレイには、様々な外膜タンパク質が利用されており、Lpp-OmpA,

 Autotransporter (AIDA-I, Intimin)に抗体断片を融合させ、細胞表面に抗体断片を提示します。バイオピークで

 は IntiminをVHH抗体やVNAR抗体の提示に利用しています。

Intiminによる抗体の大腸菌ディスプレイ

 Intiminは抗体の大腸菌表面へのディスプレイにおいて、他の外膜タンパク質に比べて低毒性であり提示能力が優れています。

VHH抗体の大腸菌提示様式

大腸菌ディスプレイ法によるスクリーニング

スクリーニング手順

 

1.外膜タンパク質 IntiminC端に抗体(VHH、VNAR) を融合させ、

     ライブラリーを作製。

 

 

 

2.抗体を発現誘導した大腸菌、すなわち大腸菌の外膜表面にディスプレイ       されている抗体とビオチン標識抗原を反応させる。

 

 

 

3.抗ビオチン抗体標識磁気ビーズと反応させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

4.磁性カラムを用いて、磁気ビーズと結合している大腸菌、

   すなわち、抗原結合性のある抗体を発現している大腸菌を濃縮。

 

 

5.磁気ビーズと結合しない大腸菌の除去。

 

 

 

 

 

6.磁性カラムから磁気ビーズと結合している大腸菌を溶出し、回収。


大腸菌ディスプレイ法の問題点と解決

ディスプレイ法には、大きなライブラリーを扱える最大の利点があり、存在確率の低いレア・クローンの取得の可能性が向上します。しかし、ディスプレイ法のみで、抗原と結合する抗体を発現するクローンを同定しようとする場合、多大な労力と長い時間が必要となるという問題があります。また陽性クローンの同定を行うことは困難です。

例えば、109のライブラリーを105規模まで濃縮することは得意ですが、その後、個々の陽性クローンを同定するのは、繰り返しの作業に必要な労力と長い時間が必要です。これらの問題を解決し、短時間に大規模なライブラリーから陽性クローンを同定可能なコンビネーションスクリーニング法を開発しました。